2005-09-18 [Sun]
■ 戦うコンピュータ 軍事分野で進行中のIT革命とRMA
世の中には、ジャンル分けの微妙な本があるもので、書店で探すのに苦労させられることがたまにあります。例えば私のよく利用する某大型書店では、サイモン・シンの「暗号解読 〜ロゼッタストーンから量子暗号まで〜」が古代史のコーナーに置かれていた所為で見つけられず、結局他所の書店で買う羽目になったことがあります。井上孝司氏の新刊も、コンピュータ関連なのか軍事関連なのか微妙なところ。こういう本はネット書店でサクッと検索して注文するに限ります。IT革命万歳。
本書は、「テクニカルライター」のみならず「軍事研究家」とも名乗っている井上氏のまさに得意とする切り口、第二次大戦からイラク戦争に至るまで、ITの進化がもたらした軍事革命(RMA : Revolution of Military Affairs)の流れを追ったものです。軍ヲタに限らず、一般にも受けそうな話題が随所に散りばめられており(ナバホ・コードトーカーとか)、好感が持てます。「Mk.1アイボール」には不覚にも吹き出してしまいました私。
そういや、井上氏は以前「自著に載せる写真は可能な限り自分で撮影する」と言ってましたが、本書においても、エニグマ暗号機や象のオリといったお馴染みのモノに加えて、九一式徹甲弾やら4式射爆照準器などの新ネタが登場しています。なるほど、大和ミュージアムへ行ったのも、本書の布石だったわけですね。