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なりたま通信所業務日誌


2010-06-13 [Sun]

はやぶさ帰還の日

0400 頃、はやぶさは月軌道の内側へ。再突入まで残り 19 時間。

当方は、1030 頃起床。このところ深夜勤務とかで睡眠が不規則だったので、昼頃まで寝ておきたかったところですが、さすがにここから二度寝すると夜まで寝てしまいそうなので、大人しくその時を待つこととします。公式ドリンク追加投入しとくか。

1400、再突入まで残り 9 時間。家でじっとしていても仕方ない、早めに相模原に行くとします。日記の更新は帰宅後に。 余裕があれば Twitter で何か流すかもしれませんが、期待はするな。

ISAS 相模原キャンパス

なにやら午後から大混雑とか漏れ聞き、ひょっとして出遅れたか ? と不安になりつつ、1620 頃 ISAS 到着。まずは、はやぶさを宇宙へ放った M-V へ敬意を表しておきます。

展示室内は、それなりに人は多いものの、覚悟していたほどの大混雑でもなし。やはり皆が皆パブリックビューイングを見るわけでもないだろうからねぇ。会場はまだオープンされていないものの、1700 頃から自然発生的に開場待ち行列ができる。皆さんよく訓練されているなぁ。その光景を見た JAXA の中の人、繰上げで開場を決定。やはり行動してみるものだねぇ。要領よく最前列を確保。

待ち時間の間は Twitter で情報収集を試みるも、随分と不安定で焦らされる。

1951 カプセル分離

カプセル分離ステータス確認 既にカプセル分離のコマンドは送信済みとのことで、粛々と「その時」を待ちます。予定時刻の 1951、まだかまだかと待つこと数十秒、管制室内で拍手が ! 少なくとも「分離コマンド実行」のステータスは確認された、ということやね。もちろん、会場も大拍手。

もっとも、かつてのイトカワへのタッチダウン時に「プロジェクタイル発射が行われなかった可能性がある」と後から判ったというトラウマもあって、姿勢の変動やドップラーシフトの状態から裏をとったうえで発表するという慎重姿勢。カプセル分離を Twitter で速報した俺も、改めて断りを流しておきます。

最終的には裏付けも得られたようで、「カプセル分離を確認」と発表されたようですが、公式な発表を俺が知ったのは Twitter。俺、相模原に居るんだよねぇ ? まぁ中の人もいろいろ大変だろうし、早く教えろと無理を強いるわけにもいきませんが。

2228 交信終了

はやぶさ運用終了 2230 頃、突然管制室で拍手が上がり、会場一同「何がどうした ?」なにぶん音声が流れないものでねぇ。中の人の説明によると、予定では 2235 に内之浦からの可視が終了、交信ができなくなるために探査機としての「運用」が終了するとのこと。予定より早いけど、先程の拍手がおそらくそれでしょう。後で阪本先生が改めて説明したところによると、通信終了は 22:28:30 とのことで、時間的にも合致。

交信および運用が終了となると、相模原でできることはもはや無し。再突入を前にして、管制室内は早くも人の姿がめっきり減ってしまう。あぁ、寂しい……

2251 再突入

2245、はやぶさは地球の影に入り、太陽電池からの電力供給がなくなるために機能を停止したはず。交信もとうに途絶え、後は地上からの観測が得られるまでは計画値を頼りに推測するほかなし。時計を注視しながら「あと 3 分」「あと 2 分」「あと 1 分」とカウントダウン。予定通りならば 2251、再突入。これがはやぶさ最期のとき。

会場では、現地で再突入時の火球を観測する和歌山大学チームの Ustream 映像が流されているものの、バッファリング待ちが頻発してよく判らず。そのうち Twitter から「ビーコン受信」の報が ! ビーコンはパラシュート傘開後に発信されるはずなので、これでカプセル再突入とパラシュート傘開までは確認できたことに。

2300 頃、阪本先生登場。改めて運用終了と再突入、そしてビーコン受信までを報告。更には「はやぶさが最後に地球を撮影した画像」の受信に成功したとの報も !

そして会場では万歳の声、そして「公式ドリンク」での乾杯がwww というか、大半の人間がリポ D 持参なのにワロタ (俺もだけど)。

ラストショットの画像は ? そしてカプセルは見つかったのか ? 気になることは多々あれど、いち素人が「ぶら下がり取材」するわけにもいかず、また遅くまで居座っても帰宅できなくなるので、早めに撤収。横浜線に乗ってから改めて Twitter に繋いでみるも、またも不安定でヤキモキ。結局は、ラストショット画像からカプセル発見の報まで、帰宅するまでに確認完了。まったく、最後の最後は完璧に仕事を成し遂げてやがります、はやぶさも、それを支える関係者も。